SCROLL
PAGE TOP

BLOG

ブログ

2023/06/21

任期の法則

これまでに、役員の任期によって会社の今後が左右されることを解説してきましたが、その任期についても、

裁判所が一定の見解を示している

ことではあります
株式会社においては、取締役2年、監査役4年、非公開会社でともに10年まで伸長可能となっており、その他の法人においても、原則・伸長ともに偶数年であることが通常なことではありますが、これらのことは、

会社を取り巻く環境の変動に関しての裁判所の見解
による

ところではあります
これらのことを踏まえて、共同経営による会社設立でお悩みの方々に対し、当事務所において法的なアドバイスを的確にしていく所存ではあります
以前にもお伝えした通り、

会社設立時の公証人の認証が入った原始定款
こそが、株式会社にとっての生命線となる重要な書証となる 

ことではあります
そこで、当事務所においても、

当事務所に会社設立に際しての定款作成・登記申請を依頼されたお客様に対しましては、

その後の、会社経営についてのお悩みに対する無料相談を2回まで実施する

ことといたします
共同経営におかれましては、経営方針の相違等により、その歯車が狂ってしまうことが見受けられることではあります
そのようなときにも、企業紛争についてのコンサルティングのプロである司法書士として、かつ、自社ビル経営のビルオーナーとして、会社オーナーである株主の視点に立って法的アドバイスをすることにより、そのお悩みを解決していくことといたします
是非、一度当事務所にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか

任期の法則
任期の法則

2023/06/15

解任の正当事由

前回の記事では、取締役等は自由に解任できる反面、原則として損害賠償の対象となることを解説してきました
今回の記事では、例外的に認められる解任の正当性について解説していきます
株式会社は役員等を自由に解任することはできますが、正当な理由のない限り、その解任について損害賠償を請求されれば、その責任を負うこととなってしまいます
ここでいう正当な理由とは、

職務の執行を委ねることができないと判断することもやむを得ない、客観的、合理的な事情が存在する場合

責務の遂行を期待することが客観的に難しい状況がある場合

等をいうものと解され、単なる人間関係の悪化等、主観的な事由に該当する場合には正当な理由には該当しないとされています
その、正当事由は一般に、

職務執行上の法令・定款違反
心身の故障
職務への著しい不適任(経営能力の著しい欠如)

がこれに該当すると解されています
自由に解任ができることと引き換えに、

解任の正当事由が認められるハードルは非常に高く、また、賠償額としても従業員の解雇よりも多額なものとなりやすく、

多くの裁判例によって会社への多額の損害賠償が認められています
つまり、会社法の規定によって取締役その他の役員等をを強く保護しているものと解され、

相当程度の問題児やモンスター役員の解任であっても、単なる主観的な人間関係に由来するとされ、職務上の障害とは認められず、損害賠償の対象になりやすいことではあります

そのようなときに、原始定款の内容や司法書士による各手続きが生きてくることではあります
また、労働弁護士への対抗策になり得ることでもあります

解任の正当事由
解任の正当事由

2023/06/09

解任と損害賠償

前回の記事では、役員の解任の自由について具体的に解説しました
今回の記事では、解任された役員側からの対抗策について具体的に解説していきます
解任された役員及び会計監査人は、会社法339条2項

「前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」

の規定により損害賠償を請求することができるとされていて、その損害賠償の範囲としては、

原則として、任期満了までの残存期間の役員報酬

ということになります
つまり、この規定は、解任の自由の保障と任期に対する期待の保護との調和を図る趣旨であると解釈されており、これにより、

役員は会社よりも弱い立場にある

として、役員を保護するとされており、任期が長いほどその期待に対する保護は強化されることになります
また、解任について正当な理由がある場合を除き、とされていることからも、

原則として、損害賠償が認められて、その請求をすることができる
 

ことではあります 

したがって、多くの場合において、会社側に不利になるものではあります 
正当な理由と任期に対する期待についての具体的な内容の詳細につきましては、後の記事で解説していくことといたします

解任と損害賠償
解任と損害賠償

2023/06/03

役員の解任

前回の記事では、委任契約の概要について解説してきました
今回の記事では、会社と役員についての委任契約について解説していきます
前回のあらすじでは、委任契約とは法律事務についての契約であり、高度な専門性を要することから、相互に対等であるため、当事者間の自由な意思に委ねられる契約方式であることを解説しました
これは、会社・役員間の委任契約においても適用されます
それゆえ、会社法339条の規定により、

役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる

とされています
つまり、株式会社は株主のものであり、かつ、会社と役員の関係は対等であり当事者間の自由な意思に委ねられていることから、

理由の如何を問わず、自由に役員及び会計監査人を解任できる

とされています
したがって、いかなる理由であっても、解任についての株主総会の決議が有効に成立さえしていれば、

その解任の効力を争うことはできず、有効である

ことになります
以上のことから、株式会社は株主の所有に属しており、

役員等の選解任の自由が保障された、株主にとっての会社

であることになります
ただし、取締役等の役員側からも会社への対抗措置が会社法等の規定により存在することになります

役員の解任
役員の解任

2023/05/30

株式会社と役員の関係性

これまでに、株式会社は株主の所有に属しており、役員とは委任契約を締結していることにすぎないことを解説してきました
これと同時に会社法では役員の権限についての規定も存在していることについても解説してきました
今回の記事では、その内容について解説していきます
委任契約とは、端的には

法律行為の事務を委託する契約

であり、その性質上、高度な専門性が要求されることから、雇用契約等とは異なり、相互に対等であり、当事者間の自由な裁量や意思に委ねられます
それゆえ、委任契約を締結することはもとより、委任契約を解除することも当事者間の自由な意思に委ねられ、

理由の如何を問わず、いつでも委任契約を解除することができる

とされています
ただし、この規定のみによっては、委任契約に対する期待権を害することになるため、

正当な理由のない委任契約の解除に対しては、損害賠償を請求できる

として、その期待権を間接的に保護することとしています
これは、株式会社と役員についての委任契約についても会社法によって規定されており、当事者双方の均衡を保つこととされています
株式会社と役員についての具体的な内容につきましては、今後の記事で追って解説することとします

株式会社と役員の関係性
株式会社と役員の関係性